・見積もりを依頼する前に
事務所開設の際に必要な電話機の台数や電話機に必要な機能、回線の数、オフィスのレイアウトが決まったら、次は電話工事を依頼する業者を選ぶ段階に入ります。
工事を依頼するときは、大抵業者に見積もりを出してもらいますが、電話工事を請け負う会社は数多くありますので、見積もりを依頼する業者の数をある程度絞らなければいけません。
電話工事を請け負っている業者は、同時に電話機の販売も行っています。
電話機の販売に関しては、特定のメーカーの商品だけを提供する業者、新品だけを扱う業者、中古だけを扱う業者、あるいは新品と中古を扱う業者などがあります。
また、中には、電話機の販売・設置工事だけでなく、デスクや椅子のようにオフィスで必要とされる家具などの販売も行っている業者もあります。
そのような業者に依頼した場合には、オフィスの設営が速やかに行える利点があります。
したがって、オフィスの設営に必要な条件と、業者の特徴とを照らし合わせて、実際に依頼する業者の選定を行います。
・連絡する
見積もりを出してもらう業者が決まったら、実際に業者に連絡しなければいけません。
電話工事を行うために、業者に見積もりを出すときには、ほとんどの場合、電話で連絡します。
電話を掛けた段階ですでに業者選びは始まっています。
業者が電話に出たときの対応は非常に重要なチェックポイントとなります。
電話口に出てきた相手の話し方や雰囲気などの印象が悪いなら、その業者に頼むことには慎重になるべきです。
お客への対応がぞんざいな業者では、工事の施工の品質も期待できません。
また、対応自体はよくても、自分たちの売りたいもの(買わせたいもの)だけを勧めてくるだけで、こちらの要望を聞かないような業者にも要注意です。
必要のないオプションなどを選ばされて、後々後悔することになってしまいます。
反対に、こちらの要望に親身に応えようとしてくれる業者を選ぶと、気分よく工事を依頼することができます。
工事が終わった後に、「こんなはずではなかった」とならずに済むように、見積もりの段階で希望をすべて伝えて細かい点まで見積もりを出してもらいます。
実際に工事に入ってから追加工事が必要となることも多々あるので、その場合の対応(追加料金が発声するか)なども確認しておきます。
工事が済んでからもメンテナンスなど、電話工事を依頼した業者との関係は長いものになりますので、業者選びは慎重に行います。
・工事当日
電話工事の見積もりを出して、工事を依頼したら、電話機を設置する工事を行うことになります。
電話工事には、依頼者が立ち会います。
工事担当者がオフィス内に入らなければいけないので、依頼者が不在では工事ができません。
電話回線の引き込み工事は、電線からオフィスの入っている建物へ、建物からオフィスへという段階で行われます。
依頼者が立ち会う必要があるのは、そのうちの建物からオフィスへの段階です。
立会いといっても、依頼者がすべきことはほとんどありません。
その場で工事の様子を見ているだけになります。
ただし、配線などに関して工事担当者と確認することが発生する場合もあります。
また、工事当日までに、電話機を設置する予定のデスクなどを運び込んでいると、配線などの仕上がりをきれいにまとめることができます。
・主装置
オフィスで使う電話機台数が2台以上を想定する場合は、ビジネスフォンの導入を考えることになります。
家庭用電話機を2台以上使う場合は、電話機の台数分の回線数を確保しなければならず、電話機の数だけ回線契約が必要ということになります。
もちろん、回線数が増えれば、それだけ利用料金が発生します。
それに対して、ビジネスフォンでは、電話機の数が増えても、回線契約の数を増やす必要はありません。
回線数を増やさずにすむということは、1つの回線契約でよいということで、それだけ利用料金の節約に繋がります。
注意点としては、ビジネスフォンを利用するには、「主装置」が必要だということです。
したがって、ビジネスフォンは、電話機と主装置の組み合わせで使用します。
新規にオフィスを開設するにあたり、電話機が1台しか必要なく、今後も電話機の台数が増えることがないということがはっきりしているのなら、ビジネスフォンの導入は必要ありません。
しかし、今後、会社の規模を拡大し、電話機の台数が増えることが予定されているのなら、ビジネスフォンをあらかじめ導入することも考慮に入れておくことも考えられます。
・自動で転送
規模の小さな新規立ち上げ事務所では、一人が出かけてしまうとオフィス内に誰もいないという事態がよく起こります。
不在のオフィスにかかってきた電話に出られなかったためにビジネスチャンスを逃してしまった、といったことはなんとしても避けなければいけません。
ビジネスフォンは多様な機能を搭載しているのが普通です。
そのため、ビジネスフォンの中には、電話を転送する機能を持つ機種もあります。
外回りが多くなることがわかっているなら、転送機能に対応した機種を選択肢に入れていくことも考えられます。
転送の仕組みとしては、外からの電話(外線)を内線で転送するように、事前に設定済みの電話番号に転送するものです。
手動でそれを行うこともできますが、オフィスに誰もいないという前提なので、自動で転送する設定ができる機種を選びます。
転送先として携帯電話を設定できるので、どこにいてもオフィスにかかってきた電話に出ることが可能となります。
・不在時に必要
業務終了後や休日などでも電話がかかってくることがあります。
そのような場合のために便利なのが留守番電話機能です。
基本的には、家庭用電話機もビジネスフォンも留守番電話機能での違いはありません。
自動的に応答して、伝言メッセージを再生し、相手のメッセージを録音します。
ビジネスフォンと家庭用電話機とで留守番電話機能に違いがあるとすれば、ビジネスフォンの場合、後付の留守番電話装置を取り付ける場合があるということです。
ビジネスフォンは、留守番電話機能に対応していないことが多くあるということです。
オフィスにある電話機すべてに留守番電話の機能が必要かというとそうではないことのほうが一般的だというのが理由です。
したがって、ビジネスフォンを導入するときは、留守番電話機能の有無や後付の留守番電話装置を導入するかを考慮します。
留守番電話に関するビジネスフォンと家庭用電話機の違いは、ビジネスフォンのほうが録音時間が長かったり、録音件数が多かったりすることがあげられます。
・どちらが得かは一概には言えない
市場に出回っている電話機には、新品と中古の違いがあります。
電話機以外の商品に関してもいえることですが、中古のほうが新品よりも価格が安い傾向があります。
ただし、ビジネスフォンの場合、新品と中古の価格差が10倍くらい開いていることが珍しくありません。
中古の型式の古い機種に比べて、新品の最新の機種では新しい機能が追加されていることがあります。
しかし、型式が古くてもビジネスフォンに必要な機能がそれほど変わるということはありませんので、基本的な機能に関しては中古においても不足があるわけではありません。
中古の電話機がいくら安いといっても、あまりにも古い機種だとメーカーが保守用部品をすでに製造していなかったり、市場に同一の機種が存在しないといったことがあります。
また、電話機ごとに状態が異なるので、購入後すぐに故障してしまう心配もありますが、新品だからといって必ずしも長持ちするというものではなく、すぐに故障してしまうこともあります。
価格は高いが保守性に優れる新品と、価格や安いが保守性で劣る中古のどちらを選んで導入するかは、以上のような点を踏まえて検討していきます。
・ハンズフリー
電話を掛けるとき、受けるときに受話器を置いたまま電話をする機能をハンズフリーといいます。
通常の電話機では、片手で持った受話器を耳に当てて通話を行いますが、ハンズフリーに対応した電話機では、受話器を受話器を持ち上げなくても通話をすることが可能です。
両手が自由になるので、電話中の効率を上げることができます。
たとえば、ペンで紙にメモを取りながら、あるいはパソコンに向かってキーボードをタイピングしながら通話をすることができます。
電話機で対応している場合もありますが、対応していない電話機に外付けでハンズフリー機能を追加する装置もあります。
ハンズフリーにも、備え付けのマイクとスピーカーを使うものと、別途ヘッドセットを必要とするものがあります。
外付けのハンズフリー装置は、大抵ヘッドセットを必要とするタイプです。
・着信お待たせ機能
電話をしている間に別の人から電話がかかってきた場合は、電話を掛けてきた相手には呼び出し音の次に話中の音が流れるだけです。
普通は、相手は話中であることを認識して電話を切ってしまいます。
まだまだ人数が少ないであろう新規オフィスでは、電話が重なって対応できないということが起こりがちです。
電話に出られなかったために相手を不快にさせたり、あるいはビジネスチャンスそのものを逃すようなことがあってはいけません。
そんなときに役に立つのが、ビジネスフォンの機能の一つ「着信お待たせ機能」です。
各メーカーによって多少名前は違いますが、この着信お待たせ機能は、電話中にかかってきた相手に自動で応答をしてくれる機能です。
話中にかかってきた電話に自動でメッセージを流すことができ、通話の間、そのまま相手をお待たせすることができます。
メッセージは、任意に設定することができます。
電話機自体が対応している場合と対応していない電話機でも外付けの装置を取り付けることによって後から機能を追加することができます。
・ナンバーディスプレイ
電話を掛けてきた相手の電話番号が電話機のディスプレイに表示されることを「ナンバーディスプレイ」といいます。
ナンバーディスプレイは、NTTが提供するサービス名で、ほかの通信会社も同様のサービスを別名で行っています。
携帯電話では、最初から、特に何もしなくても相手の電話番号が表示されますが、固定電話の場合、追加で番号表示サービスを契約しなければ電話番号の表示はなされません。
ナンバーディスプレイを利用するには、電話機がナンバーディスプレイに対応している必要があります。
対応している電話機であれば、着信履歴として電話番号が残りますので、不在時の着信などの電話番号を確認できます。
また、着信時に電話番号を見てから、番号によっては電話に出ないといった選択をして対応を変えることができます。
オフィスの新規立ち上げ時に必要な設備機器関連を紹介しています。