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まずは電話機!

・電話がない

新規に会社を立ち上げるなら、何は無くとも電話が必要になります。
取引先とのやり取りや、顧客からの問い合わせなど、電話が必要な場面はいくらでも出てきます。

携帯電話の普及が進んだ結果、一人一台の時代を迎え、「電話」といえば携帯電話を思い浮かべることのほうが当たり前となってきました。
携帯電話さえあれば固定電話が無くても困らない人も増えてきました。

・固定電話の用意

しかし、会社の電話が携帯電話だけ、というわけにはいきません。
一般的に、連絡先に固定電話が無く携帯電話番号だけの会社は信用されません。
特に、立ち上げたばかりで社会的信用があるとはいえない新会社にとって、信用されることは非常に重要な問題であり、固定電話が無いというだけで信用を得られないという事態だけは避けなければいけません。

したがって、新会社のスタートと同時に固定電話が使えるように、あらかじめ事前に電話を用意しておきましょう。

電話回線の種類

・3種類の中から選ぶ

オフィスには電話機が必要です。

電話機は電話回線に接続しなければ通話ができません。

電話回線に接続するといっても、電話回線には種類があります。
回線の種類は大きく分けて3つあります。
すなわち、アナログ、デジタル、および光回線です。

このうち、アナログとデジタル回線は、銅線ケーブルを使用するもので、一方の光回線は、光ファイバーケーブルを使用するものです。

アナログ回線は、従来、電話回線として使用されてきました。
それに対して、デジタル回線や光回線は、比較的最近登場してきた回線です。

デジタル回線は、ISDN回線としてNTTがサービスを提供していますが、かつてサービスを提供していた事業者が次々に撤退するなど、これから電話回線を設定する際に考慮に入れるべき回線とはいいがたくなっています。
光回線についてもNTTをはじめ各社がサービスを提供しており、こちらは各事業者による競争が行われており、今後の普及が期待されています。

アナログ回線

・アナログ回線には2種類ある

電話回線には3つの種類があります。
すなわち、アナログ回線、デジタル回線、および光回線の3つです。

3つの中のアナログ回線が、従来から使われてきた銅線のケーブルで、一般に「電話線」とってイメージするのがこのアナログ回線です。

さらに、アナログ回線は、ダイヤル回線とプッシュ回線の2種類に分類されます。
ダイヤル回線は、パルスを使用する方式で、電話機の番号部が回転式(ダイヤル)となっており、電話番号をダイヤルすると、ジジジと受話口から聞こえてくる方式です。
かつて広く使用されていた「黒電話」の時代には、このダイヤル回線が使用されていました。

プッシュ回線では、トーンを使用します。
この回線方式で使用される電話機の番号部はボタン型となっており、ボタンをプッシュすることで番号を発信します。
番号をプッシュすると、受話口から「ピポパ」と聞こえてきます。
プッシュ回線が登場してきた当初は、電話機がダイヤル回線とプッシュ回線のどちらかにしか対応していませんでしたが、現在では、どちらの方式にも対応した電話機が一般的となっています。

ADSL

・ダイヤルアップ接続

既存のアナログ回線を使用してインターネットに接続する方式を「ダイヤルアップ接続」といいます。
ダイヤルアップ接続には、すでに固定電話に加入しているなら、特別な工事を必要とすることなくインターネットに接続できるという手軽さがあります。
もっとも、実際にインターネットに接続するには、プロバイダというインターネット接続事業者との契約が必要となります。

ダイヤルアップ接続はインターネット接続が普及をはじめた当初は一般的な接続方式でしたが、ADSLや光ファイバーなどのブロードバンド接続方式の登場に従って、今ではほとんど利用されることがなくなっています。

・ADSL

アナログ回線を利用したインターネット接続方式としては、ダイヤルアップ接続のほかに「ADSL」があります。
なお、ADSLは「Asymmetric Digital Subscriber Line」、すなわち「非対称デジタル加入者線」といいます。
非対称というのは、上りと下りの通信速度が同じではない、というところから来ています。

ADSLは、電話で使われる電話線(アナログ回線)をそのまま使用するところに特徴があり、電話の通話とインターネットへの接続ヲ同時に行うことが可能です。
そのため、登場からしばらくは、手軽なブロードバンド通信として通信事業者による競争が激しく行われましたが、光回線の普及によって次第に利用されなくなってきました。
今では、サービスを提供している事業者の数も少なくなっています。

デジタル回線

・ISDN

電話回線には、アナログ回線、デジタル回線、および光回線の3つがあります。
ここでは、デジタル回線のことをお話します。

もともとは、電話回線として利用されていたのはアナログ回線でした。
アナログ回線においてインターネットに接続する方法としては、ダイヤルアップ接続がありました。
ダイヤルアップ接続の問題としては、通信速度が最高で56kbpsまでという速度の低さに加えて、インターネットに接続している間は電話ができない、同様に電話をしている間はインターネットに接続できないということがありました。

そのような問題を解消すべく登場したのがデジタル回線を使用する「ISDN」でした。
特徴としては、デジタル回線1回線を2回線として利用できることがあります。
そのため、電話をしながらインターネットに接続することが可能となりました。

速度の問題も、1回線だけを使用してインターネットに接続する場合は64kbpsの速度があり、2回線を同時に接続に使用する場合は倍の128kbpsの通信速度を実現しました。

ただし、ISDNは、ADSLや光回線などのブロードバンドの普及によって次第に利用者数が減少しています。

光回線

・光ファイバーで繋がる

アナログ回線やデジタル回線がケーブルとして銅線を利用するのに対して、光ファイバーをケーブルとして利用するものが光回線です。
なお、光回線は、普通「光ファイバー回線(FTTH)」といわれます。
FTTHは、「Fiber To The Home」の略です。

光回線の特徴としては、ノイズの強さと、通信速度の速さ、通信距離の長さなどがあります。
特に通信速度の速さは、アナログ回線やデジタル回線とは比較にならないほどの高速通信が可能となっています。
そのため、現在ではブロードバンド通信として急速に普及が進んでいます。
ただし、光回線においては、既存の電話線などの設備を利用できず、導入には新規に設備を構築する必要があるため、コストが割高になるという問題があります。

この光回線は、インターネットへの接続だけでなく、電話回線としても利用できます。
コストの問題は、現在、光回線サービスを提供する通信事業者が激しい競争を展開しているため、利用者が負担するコストは低下の傾向にあります。

電話機の種類

・電話機の呼び名

電話機には種類があります。
大きく分けると2種類あります。
すなわち、一般の家庭においてある電話機を「一般電話機」、オフィスにおいてあるものを「多機能電話機」といいます。
一般電話機のことを「家庭用電話機」、「多機能電話機」のことをビジネスフォンと呼ぶことが普通です。

・主装置

家庭用電話機は、電話機1台あれば通話が可能ですが、ビジネスフォンは家庭用電話機とは違い、電話機本体だけで通話することはできず、「主装置」と呼ばれる装置が必要です。
この主装置にビジネスフォンを接続します。
主装置は、内外線または内線間を繋ぐ交換機器で、ビジネスフォン専用電話機1台1台を制御します。
設置には、電話工事の専門知識(資格)が必須です。

・通話に必要な電話回線数

家庭用電話機は、1台につき1回線を必要としますが、ビジネスフォンの場合は電話機本体は何台でも接続可能です。
そして、利用頻度によって常時必要な回線数を適宜契約していく形で、後から回線の数を増やしていきます。

・内線電話

同じ主装置へ接続されているビジネスフォンは、「内線」という機能が利用できるので、オフィス内の電話でのやりとりに通話料が掛からないのに対し、家庭用電話機同士では、同じオフィスないし家屋の中でも、「外線」で通話をする必要があり、料金が掛かります。

家庭用電話機でビジネスができるか

・家庭用電話機でもできること

家庭用電話機は、1台の親機と1台ないし複数の子機のセットで販売されていることが多く、1台で一つの回線を使用します。
そのため、一度に複数の電話を受けたり、複数名で同時に電話を掛けることが考えられないSOHOや小規模人数のオフィスでは、家庭用の電話機の導入で間に合います。

・家庭用電話機ではできないこと

ビジネスシーンで家庭用電話機を使用する際に出来ないことは、内線通話です。
家庭用電話機しかない事務所内で、ほかの電話機と通話をしようとしても、内線電話はできません。
内線電話のように使うには、一旦外線として、その電話機の電話番号に電話を掛けるしかなく、その際には外線料金が発生します。

ビジネスフォンでは、事務所の電話にかかってきた電話を保留して、別の電話機に転送することが可能です。
しかし、家庭用電話機ではそうは行きません。
親機と子機の間では、保留機能を使って転送することが可能ですが、別々の電話機同士で転送することはできません。

また、一つの回線に複数の電話機を接続しているような場合、一人が電話を使用している時は、同一回線に繋がった電話機は受発信できません。

電話機の設置の前に

・電話工事は専門家に頼む

どの電話回線を使用するかを決めたら次はいよいよ電話機を設置することになります。

自分で電話機を電器店で購入してきてそのまま設置することができるかというと、そう簡単にはいかない問題があります。
それは、電話工事をするには資格が必要だということです。
つまり、「工事担任者」の資格を持っていなければ電話工事を行うことができないということです。

工事担任者とは、正確には「電気通信設備工事担任者」といいます。
この資格は、電気通信国家試験センターが試験を行っている国家資格です。

ですが、自社の事務所に電話機を設置するために工事担任者の資格の取得を目指す必要はありません。
普通は、専門の工事会社に電話機の設置工事を依頼することになります。
したがって、実際には、電話工事を依頼する段階で、使用する回線の選択も行うことになります。

もっとも、工事担任者の資格を取得して、電話工事会社として独立してしまうのも面白いかもしれません。

電話工事の依頼

・台数やレイアウトの決定

電話工事を依頼するには、あらかじめいくつかのことを確認しておくと、スムーズに進めることができます。

ここでの前提が新規にオフィスを構えるということなので、設置する予定の電話機がまだ手元にない状態を想定します。

まず、設置を予定する電話機の数を算出します。
一人だけの会社なら、電話機の必要数も一台ですが、共同経営の場合や、従業員を雇う場合は、複数の電話機が必要な場合も出てきますので、必要台数を確認しておきます。

台数が決まった後は、必要な電話回線の算定です。
複数台の電話機が必要な場合は、回線の数も複数必要になることがあります。
以上のように、電話機の数や回線の数は、会社の規模と相談して決定していきます。

必要な台数、必要な回線数が確定したら、次はオフィスの中のどこに電話機を設置するかというレイアウトの確認があります。
レイアウトによって実際の工事代金が変わってきますので、レイアウトの確認は重要な手順となります。